東レの長繊維事業/サステ素材で挽回/ナイロンは差別化品拡充

2024年05月09日 (木曜日)

 東レの長繊維事業部は2024年度(25年3月期)の重点施策としてサステイナビリティーに焦点を当てた合繊長繊維の販売拡大で昨年度の販売数量減少からの挽回を図る。ナイロン長繊維は差別化糸の販売に力を入れ、現在の円安を生かして海外市場への提案を強化する。

 23年度はポリエステル長繊維、ナイロン長繊維ともに販売数量が減少した。大きなウエートを占めるスポーツ・アウトドア用途が欧米市場を中心に流通在庫増加による需要調整局面となったことが大きく影響した。このため24年度は「需要が高まっているサステ素材の販売拡大で昨年度の数量減をカバーする」(足立大輔長繊維事業部長)。

 特に欧州市場ではトレーサビリティーを重視する傾向が一段と強まっていることから、鑑別可能でトレーサビリティーを確保している再生ポリエステル繊維「&+」(アンドプラス)の拡販を進める。現在の円安も追い風にしたい考えだ。また、ナイロン長繊維は高吸放質機能を持つ「キュープ」など差別化糸の提案を強化する。バリエーションも拡充し、こちらも欧米や中国など海外市場での販売拡大に取り組む。

 糸の販売先と競合しない範囲で進めている生機販売にも引き続き取り組む。現在、極細繊度ポリエステル糸を使用した生地が婦人服用途などで徐々に実績を上げつつある。今後は東レ独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を応用することでさまざまな機能を持たせた生地の開発と打ち出しに力を入れる。生機販売まで取り組むことで糸の需要掘り起こしを進める。