特集 北陸ヤーンフェア2023(9)/出展者の見どころ/永井撚糸/泉工業/インフォバンク/ボーケン品質評価機構

2023年11月07日 (火曜日)

〈ボトル再生でミシン糸/カバンなど向けの高強力/永井撚糸〉

 特殊ミシン糸製造の永井撚糸(大阪市西区)はペットボトル再生繊維を使用した高強力ミシン糸「ビニモリサイクル」をメインに打ち出す。

 カバンや皮革製品用のミシン糸として備蓄販売する「ビニモ」(92色をそろえる)に使うポリエステル繊維の原料に使用済みペットボトルを使ったもの。ニーズが高まるサステイナブル対応品として開発した。

 糸種は8、20、30番手の太番手。ペットボトル再生繊維を使用したミシン糸で、8、20番手の太番手糸を37色(生成り含む)備蓄販売するところは日本では初めてという。品種は順次、増やす。

 生産は中国で行う。GRS認証も取得する企業から原糸を調達する。長く取引があり、信頼関係を築いた企業という。染色は中国の外注ながら、撚糸から検品までは中国の100%子会社である、紹興永星特殊綫で行う。物性はビニモと同等で、子会社で生産・管理することから、日本品質で価格も抑えた再生ミシン糸として訴求する。ボビンや小箱にもこだわる。ボビンは再生原料を使用しており、小箱も古紙を活用する。

 同展への出展は今回で3回目。知名度を高めるために継続出展するが、過去の出展を通じて実ビジネスにもつなげている。

 今回展では「ビニモリサイクル」のほか、原着糸「N―シリーズ」や超撥水(はっすい)ポリエステル糸なども紹介する。

〈ラメ糸で「SEKマーク」/極細繊度ラメ糸も注目/泉工業〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は、繊維評価技術協議会の繊維製品機能性認証である「SEKマーク」に対応した機能性ラメ糸「ベラホン」を披露、極細繊度ラメ糸も提案する。

 ベラホンは、特殊な銀化合物をスパッタリングしたポリエステルスリット糸をラメの原料に使用したもの。銀化合物が高い抗菌性や抗ウイルス性を発現させる。スリット糸が「抗菌」「制菌(一般用途)」「制菌(特定用途)」「抗ウイルス」のSEKマークを取得しており、これを使った機能ラメ糸を規定に従った混率で使用すれば最終商品もSEKマークの添付が可能だ。材料ベースで機能性を確保しているため、繊度や撚糸方法の自由度も高い。

 もう一つ注目なのが、仕上がり繊度35デシテックスの極細繊度ラメ糸。アルミ蒸着したポリエステルフィルムを300切(0・1ミリ幅)にスリットしたラメを使用している。これをタスキ撚りにすることで実現した。織ネームなどに使用すれば模様、文字、文章などを精密に表現できる。織ネームは極細繊度糸による高密度製織で複雑な柄や細かな文字、文章などを表現する傾向が強まっている。

 そのほか、後加工しても剥離や変色が起こらないことで実績豊富なラメ糸「ジョーテックス」を中心に提案する。

〈竹繊維の混紡素材中心に/バイオ加工で風合い改良/インフォバンク〉

 infoBANK(インフォバンク、福井市)は北陸ヤーンフェアに初出展し、竹繊維を紹介する。バンブーレーヨンではなく天然の竹を開繊し、紡績糸にする。現在は竹繊維を使った生地の販売を主力とするが、新たに原綿での販売も視野に入れる。

 竹繊維はサステイナビリティーと機能性の両面から注目されている。生地にすると帯電しにくいなどの特徴がある。カジュアルシャツやアロハシャツなどにも使われ、麻に似た着心地で夏は涼しく冬は暖かく着ることができる。

 竹繊維をそのまま使うと肌触りなどが課題になるが、バイオ加工で生成りでもしなやかでチクチクしない風合いを実現している。同技術については特許を申請中。竹そのものには抗菌性や消臭性などの機能があり、衣料用途だけでなく、壁紙やカーテン、シーツ、パジャマなどの用途にも提案していく。

 天然の竹を使うので、サステ素材としても注目されている。竹は成長が速く、3~5年で産業利用が可能となり、抗菌性があるので農薬を使わず栽培できる。

 今回展では竹繊維と綿の混紡糸を中心に展示する予定。12番手(竹の混率は55%)、20番手(同30%)、28番手(同15%)をそろえる。これまでは生地での販売が多かったが、新たに原綿で販売することも視野に入れている。

〈環境に貢献する試験/リサイクル繊維判別も研究中/ボーケン品質評価機構〉

 ボーケン品質評価機構は、環境配慮への貢献や快適性に関する試験方法を紹介し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて第三者試験機関として提供するソリューションを提案する。

 環境関連ではマイクロプラスチックによる海洋汚染抑制で求められている「洗濯時のファイバー脱落率試験」を紹介する。2030年までに繊維製品のファイバーフラグメント(繊維くず)が自然環境に与える影響をゼロにすることを目指す国際NPO、ザ・マイクロファイバー・コンソーシアム(TMC)にも参画し、認定試験ラボにもなった。

 また、生分解性試験として、国際標準規格である「ISO14855」に基づくコンポスト中での生分解性試験のほか、ドイツのホーエンシュタイン研究所が開発した試験方法による土壌中生分解性試験も紹介する。

 ボーケンが実施する試験でもう一つ注目なのが金沢工業大学と共同開発したペプチド分析法による獣毛鑑定。MALDI―TOF質量分析計を用いたもので、ISO化に加え、今年1月にはJIS化もされている。さらにMALDI―TOF質量分析計を活用し、再生ポリエステルなどリサイクル繊維の鑑別方法も研究中だ。

 快適性に関する試験としてpHコントロール性試験、ユニチカガーメンテックと共同開発した気化冷却性試験、ISOに基づく吸湿発熱性試験を紹介する。