信州大と4検査機関/教育と研究でLCA実装/OPプラットフォーム構築へ

2023年08月10日 (木曜日)

 信州大学とカケンテストセンター、ボーケン品質評価機構、日本繊維製品品質技術センター(QTEC)、ニッセンケン品質評価センターは、「繊維産業におけるLCA人材育成コンソーシアム」を結成した(一部既報)。ライフサイクルアセスメント(LCA)の算定などを担う人材を育成する教育活動に加えて、繊維製品LCAのオープンプラットフォームを構築する研究活動を推進することで、繊維分野でのLCAの社会実装を目指す。

 信州大学繊維学部の森川英明学部長・教授と村上泰教授、カケンの牟田勝広常務理事、ボーケンの丹下知彦専務理事、QTECの舟木圭理事、ニッセンケンの安藤健専務理事が共同会見を開き、9月から共同で開講する「繊維産業におけるLCA人材育成講座」について概要を説明した。

 講座では環境配慮設計の基礎となる環境負荷因子の定量評価指数であるLCAの考え方や基礎技術を学ぶほか、日本のLCAインベントリデータベースである「IDEA」の活用法などを演習で習得する。繊維産業の現場でLCAの算定やコンサルティングができる人材の育成を目指す。講座は全6回で構成し、うち基礎的内容の3回は一般に無料公開する。経済産業省の「共同講座創造支援事業補助金」にも採択された。

 共同研究として繊維製品を対象としたLCAのオープンプラットフォームを今年度中に構築する。繊維企業からインベントリデータを抽出するための情報の提供を受け、プラットフォームを通じて繊維製品の各製造プロセスでのLCA評価を行うことで原材料からの二酸化炭素排出量の定量的測定を可能にする。LCA評価を基に二酸化炭素排出量削減やリユース、長寿命化に向けた具体的な取り組みにつなげることができる。

 今回の取り組みに関してカケンの牟田常務理事は「当センターでも今期からLCAに関するコンサルティング事業をスタートさせた。そのための人材育成で信州大学との取り組みは心強い」と話す。ボーケンの丹下専務理事も「当機構も品質支援事業本部で環境や人権に焦点を当てた支援事業やコンサルティングに取り組んでいる。LCAの基盤確立に取り組みたい」と言う。

 QTECの舟木理事は「LCAを通じて脱炭素に向けた取り組みに貢献する」とし、ニッセンケンの安藤専務理事は「企業や検査機関単独では難しいLCAにコンソーシアムを通じて取り組む」と話す。