特集 パンテキスタイルフェア大阪2022/サステ、機能、コスパ追求の生地/26、27日開催へ

2022年10月21日 (金曜日)

 台湾の繊維産業連合会、紡拓会(台北市)は26、27日の2日間、大阪市中央区のOMMビルで生地展示会「パンテキスタイルフェア大阪2022」を開く。台湾やベトナムに工場を持つ生地メーカーなど31社が出展し、サステイナブルと機能性、コストパフォーマンスを追求した生地を訴求する。一部出展者の概要と、イチ押し商品を紹介する。

〈原料一貫のニット製生地/遠東新世紀(ファーイースタン・グループ)〉

 台湾のコングロマリット、遠東集団(ファーイースタン・グループ)傘下の繊維企業で、ポリエステル素材を中心に原料から生地まで一貫生産している。生地はニット製がメインだ。

 同社は年内に、ベトナム南部でポリエステル長繊維の生産に乗り出す。月産能力は5200トンで、来年第1四半期に出荷を始める。今回展では、安定した原料供給体制の下で生産するファッションや、スポーツ向けのニット製生地を訴求する。

〈越製の差別化布帛生地/竣邦(J&B)〉

 2017年にベトナムに進出し、プリントやパンチング加工を始めた。今年は編み立てと染色の一貫工場を稼働した。今回展では、ベトナムで生産するポリエステル使いの布帛製生地をメインに打ち出す。

 ベトナムの新工場は、ポリエステルやポリエステル・コットンを使った細デニール(20~40デニール)のダウンウエア地や、ポリエステル・スパンデックス使いの生地を得意とする。

〈バイオベースナイロン糸/聚隆繊維(アセロン)〉

 ナイロン糸がメインのメーカー。工場は台湾中部にあり、ナイロン糸とポリエステル糸を合わせた月産能力は5千トン。

 顧客は台湾と北米、南米、欧州の企業が多い。これまでアジア市場は手薄だったが、この2年新規開拓に力を入れ、タイやバングラデシュの顧客開拓で成果を上げている。

 日本は、アパレルやバッグ向けの販売実績がある。現状の売り上げ比率は、数パーセントだが、サステイナブル素材使いの高付加価値糸を武器に開拓を加速してく。

 今回展には、顧客とコミュニケーションを図り、ニーズを探るために出展する。軽量で細く、手触りが良いバイオベースナイロン糸と、「リヨセル繊維」使いや生分解性ポリエステル使いの糸を打ち出す。

〈4ウエーストレッチのパンツ地/宏遠興業(エベレスト・テキスタイル)〉

 大手コングロマリットの遠東集団傘下で、DTY(延伸仮撚加工糸)から織布・編立、染色加工、縫製までを一貫展開する。台湾・台南や中国・上海、タイ・ラーチャブリー県などに生産拠点を持つ。

 ナイロンのリサイクル素材を使った布帛製パンツ地や細デニールのポリエステル使いの布帛製生地が強みで、欧米の大手スポーツ、アウトドアブランドがメイン顧客だ。

 今回展では、欧米ブランドの採用実績が豊富な生地を出展する。多くの生地が糸をストックしており、納期と品質が安定している。アウトドアに最適なダブルフェースで4ウエーストレッチのパンツ地と、リサイクルポリエステルを使った4ウエーストレッチの軽量なパンツ地を前面に打ち出す。

〈廃棄漁網使い水着生地/富勝紡織(エコマックス・テキスタイル)〉

 リサイクル素材のパイオニア。今年は、廃棄漁網使いのリサイクルナイロン長繊維の生産に力を入れている。今回展では、同繊維を使った水着向けの生地をメインにアピールする。

 台湾で廃棄漁網使いの糸を自社生産する数少ないメーカーだ。2013年に廃棄漁網使いのリサイクルナイロンの開発に成功し、15年から同素材を使った紡績糸の生産を本格化した。今年は、同素材使いの長繊維の生産に乗り出した。

 今回展で打ち出す水着向けの生地は、廃棄漁網使いのリサイクルナイロン長繊維と、スパンデックスを使ったもので、耐塩素性に優れ、劣化や色落ちしにくい。

〈コスパ高い台湾製布帛生地/大宇紡織(ユニバーサル・テキスタイル)〉

 DTYと布帛製生地を生産するメーカー。ファッション向けの生地を手掛けてきたが、近年はスポーツ、アウトドア向けにも力を入れている。

 輸出と台湾内販を展開しており、輸出は韓国の商社向けがメイン。日本の顧客は商社が中心で、ファッションやユニフォーム向けの生地を販売している。

 今回展では、ファッションからスポーツ、アウトドア向けまで、コストパフォーマンスの高い生地を出展する。リサイクル素材使いや天然素材ライク、機能性を訴求する。

〈サステのベトナム製ニット生地/綿春繊維工業(MDSグループ)〉

 台湾・桃園市の工場で編み立てと染色加工、ベトナム・ドンナイ省で編み立てからプリント、染色加工を行っている。近年は、ベトナムでの生産能力拡大に力を入れる。

 ベトナムの染色加工ベースの月産能力は、20年420万ヤードだったのが、22年500万ヤード、24年700万ヤードに拡大する。台湾は現状(700万ヤード)を維持する見通しで、24年以降はベトナム生産の比率が台湾を超える。

 今回展ではベトナム生産とともに、バイオベースのポリエステル使いなど、サステイナブル生地をアピールする。

〈ゲルマニウム糸使い経編み地/毓達実業〉

 台湾に布帛、丸編み、経編みの協力工場や出資工場を複数有し、さまざまな生地を取り扱っている。近年は、ゲルマニウムを使った糸で生産したトリコットの販売に力を入れている。

 このトリコットは、ナノテクノロジーを用いてポリエステル繊維にゲルマニウムを練り込んだ糸を使う。同社によると、血液循環の促進や吸湿速乾、抗静電気、防臭の効果が期待できると言う。この糸を台湾では「GE32」のブランド名で展開している。

 今回展では、「GE32」92%、スパンデックス8%を使ったトリコットなどを、ヨガなどのスポーツウエア向けとしてアピールする。

〈ベトナム製の豊富な編み地/五綸織造(ウールエン・ニッティング)〉

 台湾とベトナムで、染色加工一貫で経編みと丸編みを生産するメーカー。今年ベトナム第3工場を稼働し、ベトナムでの生産能力を染色加工ベースで月産700トンに高める。

 ベトナム・ドンナイ省にある二つの自社工場の生産能力は現在、月産500トンだ。同工場の編み機の直近の稼動率は、新型コロナウイルス禍前の2019年には届かないが、60~80%を保つ。

 今回展では、ベトナムと台湾で生産するバラエティー豊かな生地を出展。リサイクルポリエステルや銀繊維、中空糸使いなどをアピールする。

〈安全作業服向け織物/富宇紡織科技(アドバンス・ハイテクテキスタイル)〉

 創業30年の染色加工一貫の織物メーカー。ポリエステルとナイロンを使った産業資材から、バッグ・文具向けや救命ウエア向けの生地を生産している。織布工場は台湾・桃園、染工場は台中にあり、織布の月産能力は300~400万ヤードだ。

 今年は、ユニフォーム向け織物の生産を始めた。スパンデックスは使わず、生地の組織と糸でストレッチ性を付与した。高視認性安全作業服向けとして、蛍光色を揃えている。今回展では、同織物を日本のユニフォーム会社に提案する。

〈サステ、機能性の靴下/東肯企業〉

 台湾・彰化に自社工場を持つ靴下メーカー。OEMだけでなく、ODMにも対応する。自社工場は編み機など約380台を導入し、靴下を中心に帽子や手袋などを生産している。月産能力は約100万足だ。

 今回展では、アクリル糸や綿糸を使ったカラフルなオリジナルキャラクター物やファッション性を追求した昇華転写プリントソックス、手編みのような重厚な質感のダブルシリンダーソックスなどを出展する。サステイナブルな素材使いのほか、吸湿速乾や抗菌消臭、温度調整などの機能性をアピールする。

〈差別化したニット製生地/東隍紡織科技(トゥンホアン)〉

 19年に設立されたニッターで、昨年から欧米や日本の顧客に向けた提案を本格化した。素材や機能、編み地の組織で差別化した高付加価値の生地を打ち出し、新規顧客の開拓に取り組んでいる。

 台湾の自社工場と協力工場を活用し、丸編み地と経編み地を生産している。多くは、ヨガなどのスポーツやアウトドア向けで、ファッション向けも一部手掛ける。

 今回展では、レーヨンとポリエステル長繊維を交織した丸編み地や、コンピュータジャカード丸編み機で生産した生地、糸加工で撥水性を施した丸編み地を出展する。

〈日本向けが強いニッター/和慶〉

 1973年に創業したニッター。編地の自社工場は台湾・桃園にあり、月産能力は240万メートル。ファッションとスーツ、ユニフォーム向けの丸編み地が中心で、日本や中東などに輸出している。

 日本向けは、売り上げ全体の6割を占める。顧客は生地商社や、ビジネススーツ専門店などで、スーツとユニフォーム向けが大部分だ。近年はスーツ向けが落ち込んでいるため、ファッションなど、他の用途向けの開発を強化している。

 今回展では、新規開発品を中心に紹介する。使用済み衣類や生産工程で発生する繊維くずを原材料とするリサイクルポリエステル素材使いや、デニム風ニットなどを打ち出す。