繊維製品品質管理士/有資格8千人突破へ/背景に会社の支援も

2019年10月15日 (火曜日)

 繊維製品品質管理士(TES)の有資格者が8千人を突破することが確実となった。TES制度は、繊維製品の品質、性能の向上を図り、かつ品質に関する消費者の要求を企業に伝達する人材の輩出を狙ったもの。1981年に当時の通産大臣認定制度として誕生した。行政改革の一環で97年11月から大臣認定ではなくなったが、日本衣料管理協会が民間資格制度として運営し続けている。

 2019年4月時点の有資格者は7963人。19年は2239人が受験し、524人が合格した。実際に登録する人数は合格者数とは一致しないが、資格者の8千人突破は間違いない。

 デサントとデサントジャパンの国内オフィスで働く945人のうち、企画や品質管理に関わる従業員を中心に126人が同資格を持つ。10年ごろから、「モノ作りが分かる人材の世代交代」を見越してTESに注目。TESの試験勉強を通じて知識を得て行くことが重要だと判断した。日本繊維技術士センター(JTCC)が4~6月の土曜日を利用して7日間の受験講習会を開いているが、その参加費用数万円を全額負担するなど会社を挙げて支援している。

 ワコールでは5127人(19年3月末)の社員のうち、約190人(同4月)が資格を持つ。関連会社を含めると217人に上る。繊維製品製造、販売に携わるプロフェッショナルの基本的な知識を習得する良い機会として試験の受験、資格取得を推奨している。

 同社は、受験を促すため4月に案内し、6月には二つの勉強会を実施。うち一つには外部講師を招く。試験に合格すると受験料、更新料を同社が支給する。19年には55人が受験し16人が合格した。18年は60人で9人、17年は76人で21人だった。品質保証部(品質保証課、商品試験センター、品質管理課)に有資格者が多いが、他にも技術生産本部などモノ作りに関わる社員が資格を持つ。

 「グローバルアパレルプロダクト本部に従事する者を中心に34人が資格を取得」(ミズノ)、「品質管理部5人は全員が有資格者」(三起商行)など、同資格を重視する企業は多い。「自己研鑽(さん)の一環として受験、資格取得を推奨する」(旭化成)、「学習費用を補助し、合格時には奨励金を支給」(旭化成アドバンス)、「定時後や休日に社内講師による勉強会を今年度3回開催。模擬試験も実施」(岡本)、など資格取得を促す動きも強まっている。