不織布新書17春(3)/アジア最大の不織布展/12年ぶりの日本開催/18年6月に東京ビッグサイトで

2017年03月24日 (金曜日)

 アジア国際不織布産業総合展・会議「ANEX2018」が2018年6月6~8日、東京ビッグサイトで開催される。アジア最大の不織布展である「ANEX」の日本開催は06年以来、実に12年ぶりとなる。

〈世界3大不織布展の一つ/出展300社、来場2万人〉

 ANEXは欧州の「INDEX」、米国の「INDA」と並ぶ世界3大不織布の一つで、3年に1度開催されている。直近の15年は中国・上海、12年は韓国・ソウル、09年は中国・上海の開催であり、日本開催は06年以来となる。主催者のアジア不織布協会、日本不織布協会によると、今回展では300社の出展者、2万人の来場者を見込んでいる。

 開催まで1年以上あるものの、展示スペースの85%を確保しており、現在検討中も数十社あるため、ほぼ見通しが立っている。4月4~7日、スイスのジュネーブで開催されるINDEX2017でもANEX2018をアピールし、欧州企業を中心に出展者のめどを付ける考えだ。

 現在までの申し込み出展者のうち、開催国である日本が約半分を占め、中国、台湾、香港、韓国、インド、トルコ、シンガポールなどのアジアや欧米の企業と続く。

〈合繊、紡績そろい踏み/不織布の重要性物語る〉

 日本企業では不織布専業メーカーから合繊、紡績などの素材メーカー、機械メーカー、商社など幅広い業種の出展が決定。ANEXが不織布関連企業の総合展であることをうかがわせる。

 合繊メーカーでは旭化成、クラレクラフレックス(クラレ子会社)、帝人、東洋紡、東レ、ユニチカ、そしてJNCグループのESファイバービジョンズ、宇部エクシモ。紡績ではアンビック(ニッケ子会社)、オーミケンシ、倉敷繊維加工(クラボウ子会社)、ダイワボウホールディングス、日清紡テキスタイルが出展する予定。これは素材メーカーでの不織布の重要性の高さを物語る。

 もちろん、日本バイリーン、ダイニック、金井重要工業、シンワ、金星製紙、タピルス、ツジトミ、フタムラ化学、丸三産業、三木特種製紙など不織布専業や、再生ポリエステル短繊維製造大手の髙安も出展する予定だ。さらに化繊ノズル製作所、日本ノズルの二大ノズルメーカーや、伊藤忠システック、兼松KGKなどの機械商社も出展予定者に名を連ねる。

 経済産業省の生産動態統計月報によると、2016年、日本の不織布生産量は前年比0・7%減の33万9618トンと過去最高だった15年をわずかながら下回った。それでも史上2番目。しかも、前回、ANEXの日本開催があった06年(32万9752トン)に比べると2・9%増になる。

 わずか3%弱とはいえ、12年前より生産量が増えている繊維素材を見つけるのは難しい。それだけに不織布の重要性は繊維業界で高まっている。原料や製法によって幅広い用途に対応できる不織布は、さまざまな産業界からも注目されている。その不織布関連企業が一堂に集まるのが、ANEX2018。テーマは「多様な未来を開く不織布!」(Link to Innovative Future)。見ないと損をする。

〈ANEX2018実行委員長 金井 宏彰 氏/“ビジター第一”の展示会に〉

 アジア国際不織布産業総合展・会議「ANEX」が2018年、12年ぶりに日本で開催される。金井宏彰実行委員長(金井重要工業社長)に意気込みを語ってもらった。

  ――ANEXが久しぶりに日本に戻ってきます。

 日本開催は06年以来となる。06年以降は中国(09年)、韓国(12年)、中国(15年)で開催してきたが、今回はアジア不織布協会において日本はもちろん、韓国、台湾そして中国からも日本開催の要望があり、自然な形で日本開催が決まった。国際化が進む中で、今回展は日本のプレゼンスを再確認する場でもある。

 日本の不織布メーカーも国内需要の大きな伸びが見込みにくいなかで、海外進出が増えている。かつては協力工場に生産委託するケースが多かったが、昨今は自社工場を新設するなど主体的な動きによって、海外需要を取り込む流れにある。

 日本不織布協会でも12年から日本企業の海外生産統計を取り始めたが、年率2桁%の成長を見せており、15年には日本の生産量に比べて海外生産量は重量(25万9100トン)で7割強、金額(1201億円)で6割弱を占めるまでになっている。生産委託を含めれば恐らく日本の生産量と匹敵する規模にあるのではないか。

 つまり、日本の不織布メーカーは海外市場の開拓に舵を切り始めている。ANEXの日本開催はその海外市場に対しても、日本企業の開発力、商品力を改めて訴求するという意味で良いタイミングだと考えている。

  ――12年前とは世の中は大きく変化した。今回展では新たな試みを考えているのか。

 進歩するIT技術を活用して来場者にとって利便性の高い運営を考えている。いわゆる“ビジター・ファースト”で、来場者が参加しやすい運営を目指す。

 内容的にもさまざまな新しい企画を検討している。ナノファイバー学会との共同開催によるナノファイバー展示パビリオンが既に決定した。その他にも外部団体との連携を模索している。その他、メディカル・環境・自動車・高機能材料などによるテーマパビリオンや来場者の投票によるアワードなども検討中だ。

  ――現段階で展示スペースの85%が埋まったと聞いている。

 出展者申し込みは順調で、予定の300社は確保できる見通しにあるので、来場者には期待していただきたい。そして12年前に比べて日本を中心とするアジアの不織布産業が進化し、製品レベルが変わったところをぜひ見てもらいたい。

 不織布は素材、加工技術などを組み合わせることで、さまざまな製品を生み出すことができる。企業間協業によって新たな価値も生み出してきた。来場者にはパートナーを見つけ出せる場となるANEX2018でビジネスチャンスを掴んでいただきたい。不織布は世界的にも成長産業であり、その先端を走っているのが日本だ。素材、加工技術を含めた日本の底力もご覧いただけると考えている。